• HOME
  • >
  • ばね試験機の特徴・校正

ばね試験機の特徴

1. はじめに

ばね試験機は、一般的な引張圧縮試験機(以下引張圧縮試験機)と異なり、圧縮板間又は引張治具間の機械的たわみが少ないように設計され、特に圧縮試験において上下圧縮板の平行度や剛性が重要と考えられています。

2. 当社ばね試験機と引張圧縮試験機の比較

機械構造

当社ばね試験機は能力に応じて機械構造を変えており、おおよそ2kN以下のものと、5kN以上100kN以下のものとに分かれます。(図1参照)
当社ばね試験機はつり枠構造を採用し、ばね力の作用するロードセルの作用点及び方向を圧縮と引張で同一とし、更にロードセルはボールで力を受ける構造になっています。(図2参照)

2kN以下の引張圧縮試験機2kN以下の当社ばね試験機

5kN以上100kN以下の機械構造及びばね(試験)力の作用点

5kN以上の引張圧縮試験機は、2kN以下のそれとほぼ同じ構造です。(図3参照)
当社ばね試験機は、圧縮側に3個のロードセルを組み込み、ばね力を点ではなく面として受けています。
引張側は、引張用ロードセルを組み込んでいます。(図4、6参照)

5kN以上100kN以下の引張圧縮試験機5kN以上100kN以下の当社ばね試験機

圧縮試験側の要求事項

ばね試験機は、引張圧縮試験機のように圧縮板内の一軸における精度だけが重要ではなく、ばねの置く位置が圧縮板内でずれても計測値が精度範囲以内(一定)になるよう求められます。(図5、6参照)
このような観点からも前述の機械構造が開発されました。

2kN以下の当社ばね試験機5kN以上100kN以下の当社ばね試験機

ばね試験機の校正・点検

校正方法

能力500N未満の試験機は主に分銅で、500N以上は力計で校正を行います。

500N未満の引張圧縮試験機と当社ばね試験機の校正

引張圧縮試験機を分銅で校正する場合は、ロードセルの作用点が圧縮と引張で異なるため天秤や冶具を使用しなくてはならないが、機械的制約もあるため難しい。
現実的にはロードセルの上部に皿状のものを置き分銅を積み重ねて行うが、これは校正方向とばね力方向が逆になり、校正としては問題があります。(図1参照)
当社ばね試験機は、つり枠構造により下部圧縮板の上に分銅を積み重ねて校正を行うため、校正方向とばね力方向が一致します。
引張については、つり枠構造により圧縮と同じばね力方向になるため校正を行う必要が無く、同等の精度を確保することができます。(図2参照)

日常メンテナンス

ばね試験機は使用頻度が極めて高く、試験機の精度維持は日常点検に大きく依存します。
現在の校正は、校正後の精度を保証するものではありません。
よって、適切な日常点検が精度の維持管理において非常に重要になります。

  • 械部の目視点検(圧縮板、引張治具、駆動部等)
  • 力校正値の確認(電子回路部の点検):校正ボタンで確認
  • 分銅による力精度の点検:下部圧縮板に分銅を載せる
  • ブロックゲージによる長さ精度及び上下圧縮板の平行度の点検

上記が、ばね試験機の精度を維持管理するための日常点検の項目となります。
その上で、お客様自身でこれが行えることが非常に重要で、当社のばね試験機はそのあたりを十分に考慮しています。